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デザイン事例紹介:XTREME DESIGN Inc.様

2016年4月27日 - Mono, Other, Presentation
デザイン事例紹介:XTREME DESIGN Inc.様

みなさんこんにちは。プレゼンテーションデザイナーの吉藤です。
今日はいつものプレゼンデザインとは違ったお仕事事例をひとつご紹介しようと思います。

本題に入る前に、ちょっと前置きを。

僕はイベント会場や会議室のスクリーンのためのプレゼンテーションデザインを中心にお仕事をしていますが、ロゴデザインや、印刷物もデザインします。なぜかというと、”人が人に情報を伝えるためのもの” はなんでも、広い意味での “プレゼン” だなーと考えているので。 イベント会場の500インチのスクリーンでも、9×5センチの紙面でも、それぞれに最適なデザインをすればそれは素晴らしいプレゼンテーションスクリーンになる、と思ってお仕事をしています。

■ゼロから “つくらない” デザインのつくり方

ということで今回のお仕事のご紹介を。今回は、ハイパフォーマンスコンピューティングソリューションを提供されている気鋭のベンチャー、エクストリームデザイン株式会社(XTREME DESIGN Inc.)様からご依頼いただき、名刺・封筒・クリアファイルを制作させていただきました。ちょうど先日のMicrosoft Innovation Dayのファイナリストにもノミネートされていた会社様なので、ご存知の方もいらっしゃるかと。

ご依頼内容としては、こんな感じです。


ポイントは、すでにあるロゴデザインを使って、そこから派生するような形でデザインする、というところですね。リクエスト内容を押さえたら早速アイディア出しのスケッチをして、グラフィックを作成していきます。

今回の僕の中でのコンセプトは、”ロゴデザインを別の方向から再生成” 。

リクエストにある「都会的」「強さ」「インテリ」という3つの要素ですが、会社ロゴが直線的でフラットなデザインで “強さ” はすでに表現されていると感じたので、その強さの背景にあるであろう “インテリジェンス” を感じられるようなグラフィックにすることを目標にしました。今あるロゴデザインを分解してシンプルな要素に戻して、そこから改めて別のアプローチで “統一されているけど別もの” のデザインをするイメージですね。僕の頭の中でつらつらと考えたことを視覚化すると、こんな感じになります。

Ideaflow

仕上がりのグラフィック(#phase 05)は、オレンジとネイビーというコーポレートカラーのラインがさまざまに交差するたびに形を変えて「X」(筆記体のxみたいな形状ですね)を形成するようにしました。また、こちらの会社名にある「XTREME」というのは音で聞くと「X」+「Stream」だなぁと思ったので、インテリジェンスの “ストリーム(流れ)” がうねりを作って未来へと続く姿も、このモチーフに重ねてデザインしています。ラインは太くなると都会的な洗練さが失われるので、あくまで細めで。

 

Calibrate02

 

ラインのバランスはランダムなようで意外と難しくて、こんなふうにバランスを考慮して線を引いていますが、それでも10パターンくらい描いて比較したうえで最終的には自分の目で見て心地よい形に調整して仕上げています。

 

 

 

 

 

■グラフィックをモノデザインに敷衍する

このメイングラフィックができたら、これを名刺、封筒、クリアファイルに適用して各デザインを作りこんでいきます。なんだかここまでくるとだいぶできたような気になるかもしれませんが、ここまではあくまでパーツとしてのグラフィック。ここからが “モノ” としてのデザインです。名刺・封筒・クリアファイルがすべて統一性を持ちつつ、でも媒体に合わせてそれぞれが最適化するようにデザインしていきます。先に仕上がりを見ましょうか。こちらです。

5
※iPhoneはサイズ比較用のモックです。

 

ひとつひとつ簡単に解説してみましょう。

まず名刺。これは表面に文字情報を集中。裏面はより象徴的にロゴマークとグラフィックで仕上げました。さらに、この名刺は表裏を交互に並べると上下左右のすべての曲線ラインがつながるよう設計しています。メンバーが増えていって、会社の成長が止まらずに続いていくこと、そしてインテリジェンスが無限に広がっていく様子を象徴しています。

 

 

次は封筒。横長と角型の両方をデザインしました。文字の配置をそれぞれで大きく変えています。横長のものは封筒自体が小さいので少しソリッドに。角型は大きいので、主張が強すぎないように上品に。それぞれを手に取った時に気持ちいい存在感と視認性でバランスをとりました。

Clear4


最後はクリアファイル。これ、ちょっとした遊び心を入れさせていただきました。クリアファイルに何も入れない状態と、間に白い紙を挟んだ状態で見え方がガラっと変わると面白いなと。

クリアファイルの裏面すべてをネイビーで塗りつぶして、表側はベースを透明なままにしているだけなんですが、これでなにも入れていないときはネイビー一色、間に白い紙を入れることで裏面と同化していたロゴマークやイラストがはっきりと浮かび上がるようになっています。

 

■”ムードボード” でデザイナーからのプレゼンテーション

ここまでできたら、先方にはムードボードを作成して確認していただきました。このムードボードというのは、デザインのムード(雰囲気)を感じていただくボード(紙面)、平たく言うと “デザインご提案書” ですね。こういうのは作る人と作らない人がいますが、僕はプレゼンの時もロゴデザインの時もこれを作ってお出ししています。

moodboard_vert

出来上がりイメージがあると方向性がずれにくいのと、何より口頭でくどくど説明をするよりも時間のある時にじっくり読んでもらえるので。言ってみれば、これは僕からクライアントさまへのプレゼンテーションですね。ところでこれ、パワポで作ってるって言ったらみなさん驚きますか?ふふふ。

結果的には、修正なしの一発OK(!!)をいただき正式な印刷データを作成して僕のお仕事はいったん終了。といっても、印刷が仕上がってくるまでは僕はそわそわしていたわけですが。。

その後、エクストリームデザイン株式会社様がシンガポールのTech in Asiaに出展される折に来星されたので、柴田CEOはじめみなさんにお会いして印刷された実物もいただきました。仕事はここで終わりではなくて、この後さらに実物を見ながらカラーデータを再調整し、より意図した色に近いものが出せるデータにして再納品をしています。

 

以上、プレゼンテーションスクリーンじゃないけど、”手にとれるプレゼンテーションデザイン” のお仕事もやっていますよ、というご紹介でした。

いかがでした?こういうデザインのプロセスって面白いなーと思っていただけたら僕は嬉しいです。

 

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