みなさんこんにちは。プレゼンテーションデザイナーの吉藤です。
たびたびこのブログでも取り上げている、僕がDEO職を拝命しているクラウドスーパーコンピューターのスタートアップ、エクストリームデザイン株式会社(XTREME DESIGN Inc.)ですが、この1月22日に社名を変更、エクストリームD株式会社(XTREME-D Inc.)となりました(プレスリリース記事はこちら)。
今回、この社名変更に伴って会社ロゴをリニューアルすることになり、ロゴのデザインを担当させていただきました。そこで今日は、いつものプレゼンテーションデザインとは異なりますが、ロゴデザインのお話をしたいと思います。
今回、ロゴのリニューアルにあたってデザインを紹介するティザーも作ってみましたので、まずはこちらから。
なお、こちらはXTREME-D Inc.専用に今回設計したPowerPointテンプレートを利用して作っています。
それでは、このロゴの制作の背景、順を追って少しご紹介したいと思います。
それでは、このロゴの制作の背景、順を追って少しご紹介したいと思います。
■ 旧ロゴから残すもの
新ロゴを作るには、まず既存のデザインの分析から。旧ロゴデザインはネイビーとオレンジで構成したスクエアな形状で、オレンジの「D」と、同型のネイビーが3つ組み合わさることで「X」が浮かぶ、シンプルかつコンパクトなデザインでした。
今回のロゴデザインリニューアルにあたっての要望としては、
- 新社名「XTREME-D」にあわせたもの
- オレンジとネイビーというコーポレートカラーは引き継ぎたい
- 旧ロゴにこだわる必要はない
- 何の会社かわかりづらい、という意見があったので、会社イメージを反映した形状にできれば
というものでした。
■ アイディアスケッチ
まずはいろいろなスケッチを繰り返して形状を詰めていきました。手書きおよびIlustratorでのデモをいろいろ作って比較検討。ラフなものですが、一部をご紹介します。左が手書き、右がIllustratorです。
■ 初期案
さまざまに考えた中でまず最初に提案したのが、こちらの案。鋭角的なデザインで、薄く伸ばした「D」を組み合わせることで「X」を表現しています。
だしこれは、部分的に細すぎて視認性が悪く、次点に。また企業ロゴとしては左右非対称というのは、目新しさはありますが長い目で見た時に安定感にも欠けるかなと。
しかし、このロゴを見ていた柴田CEOが「ここがいい!!」と言ってくれたのが、ロゴタイプ(文字部分)の「X」の部分。
実はこのXの部分、中心部を縦にカットする、というデザインを入れていました。これは、最初のティザーでも紹介しているようにスーパーコンピューターの典型的な画像からイメージして作ったもので、左右にならぶスーパーコンピューターのユニットと、中央部の通路をモチーフにデザインしています。このアイディアは僕自身も気に入ったモチーフであったので、この「X」を独立させてロゴにしましょう、ということになりました。
■ 正式採用ロゴ
そしてこのアイディアを徹底的に詰めて調整。最終的な仕上がりとしては、このようになりました。上の「X」とは、太さも角度も微妙に異なるのがお分かりいただけるでしょうか。
このX、単純な形状に見えますが、見ていて心地よいバランス、というのを何度も何度も計算して試した結果、斜線の角度が38.4°になっています。斜め、というのは意外と難しくて、角度がついていると “変化” や “発展” というイメージと結びつくのですが、角度によっては “急” “不安定” という印象も与えてしまいます。可能性を感じつつも、安定感があり見ていて心地よい角度、というのを選び出すためにかなり時間をかけました。
単に感覚で伸ばしたり縮めたりしているわけではなくて、このようなデザインシステムを作って幾何学的にロゴを形成しています。限りなくシンプルに、でも美しく、時代や流行に左右されず。いろんなことを考えながら、まさに “設計” しています。
細かいところですが、Xの角の部分も尖ってはおらず、こんなふうにわずかに角がとれるように垂直にカットされています。スーパーコンピュータのユニットが並ぶ様子が発想の元なので、縦方向のラインを意識してこのようにしました。
旧ロゴよりも、ネイビーもオレンジも濃くしているところもちょっとこだわり。白の背景の中で、よりクリーンかつスマートに浮かび上がるようにしました。
■ サービスロゴと拡張性
XTREME-D Inc.が提供している、スーパーコンピューターをクラウド上にデプロイするサービス「XTREME-DNA」。このサービスロゴも、社名ロゴと併せてリニューアルしています。
先ほどの「X」を作ったときのデザインシステムを利用して、このように「D」を描画。下部のロゴタイプとも形状を統一させました。そしてこのデザインシステム、XとDだけではなく、ほかのアルファベットも作成可能。今後のサービス展開の拡張性にも備えています。
■ 統一デザインで展開
そしてさらに、このロゴデザインをベースに、Webサイト、名刺、社員証、封筒、レターヘッド、クリアファイル、PowerPointテンプレートのデザインもリニューアル。すべてを統一されたデザインで一新しています。
ロゴは最初に紹介したセンタリングされたものとは別に、斜めの角度を強調したスラッシュバージョンも作りました。例えば、封筒などのように “スピード感” を出したいものではこちらを使用するなど、用途と使用箇所のバランスによって使い分けています。
以上、今回はロゴデザイン制作の背景をご紹介しました。大きな目で見るとこれも “ブランディングを表現する” というプレゼンテーション。ロゴデザインを見て、その先にあるサービスやビジョンを想像してみていただけると、作り手としてはうれしいです。