みなさんこんにちは。プレゼンテーションデザイナーの吉藤です。
さて今日は、いつものPreziのお話とは別のアプローチからプレゼンテーションデザインの話をしてみたいと思います。しばらく前にFacebookにとあるPowerPointのサンプル動画をアップしたところ、いろんな反響をいただいたので記事にしてみました。
パワポはダサい、ってみんな思ってるけど、ほんとにそう? というのが今日のテーマです。
■ パワポ禁止企業の増加?
ここ数年、「パワポ禁止の企業が増加している」と言われています。2015年にはamazonがPowerPointを禁止したなんていうニュースがあったりして、さまざまな有名企業でもPowerPointの非効率性などを理由に使用禁止にするところが出てきているようです。もちろんこれにはいろんな要素や各企業ごとの文化なども関係してくるので一言で是非を述べることはできませんが、社外プレゼンでも社内会議でも何も考えずにとりあえずパワポを使っているような場合には一定の効果があるかと思います。ただし、ここでの「使用禁止」というのは、既存ツールを盲目的に使い続けることへの警告であり、それぞれの人材が最適なツール選択をする能力を培う端緒とする狙いがあるのであって、決してPowerPointそのものの否定ではないと思っています。
ただ、どうもこのニュースが独り歩きして、「進んでる企業ではパワポはもう古いと考えているらしい」「パワポは使えない」といった風潮になっている気がします。そしてこれがもうちょっと飛躍して、「ありきたりでつまらないプレゼンを生み出していたのはパワポの功罪」みたいな感じになっている面があります。
■ パワポはダサくない。
プレゼンテーションデザイナーの意見としては、実は、”パワポはぜんぜんダサくない” です。PowerPointでもクールでクリエイティブなプレゼンテーションデザインを十分作ることができて、ただただ使い方次第と言えます。Prezi Expertの僕がこんなこと言ってると「敵のやつほめていいの?!」とおっしゃる方いらっしゃいますが(笑)、僕はあくまでプレゼンテーションデザイナーなので、プレゼンの条件や内容に合わせてなんでも使います。Prezi、PowerPoint、Powtoon、emaze、PDFやHTMLでのプレゼンデータを作ることもありますよ。
ちょっと話が逸れました。では実際に、PowerPointがダサいのかダサくないのか、具体例で見ていただきましょう。
まずこちらのサンプル。こちらはとある企業の中途採用説明会の会場での、先輩社員の自己紹介プレゼンです。
いかにも、なパワポの画面ですね。テンプレートとありがちな色合いで構成されていて、このままではあまりクールではないですし何より見ている側にも印象に残りません。
で、これをきちんと設計しなおしてデザインしたのがこちらです。
見やすいように動画化していますが、この動きの設定などはすべてPowerPointで作っています。見ている側に伝えられる情報量が大きく異なるのがお分かりいただけるかと思います。
最初のサンプルを見て感じていただけるように、もともとのPowerPointデータでは自己紹介している社員がどんな人なのか、何をやっているのか非常につかみにくいスライドになっていました。そこでコンテンツ内の各要素をビジュアライズして再設計することで、どんな人で何をやっているかが聞き手にスムーズに伝わると同時に、全体的なデザイントーンの統一で企業としてのイメージアップにもつなげて、、というのが真面目な解説なんですが、、えっと、単純に下のほうがカッコいいなと思っていただければそれでいいです。笑
と言いつつ、ここでいちばん大切なのは、カッコよくなった!ということではなくて、同じ時間内で聞き手に伝えられる情報量が格段に増えている、という点。プレゼンテーションデザインの価値というのはこういうところだと思っています。
■ PowerPointは使い方次第。
ということで、今日はPowerPointの本当の実力の一端を紹介してみました。ビジネスでは誰もが使ったことがあるPowerPoint、でも、みなさんが知らないだけでまだまだできることはたくさんあります。ツールはあくまで使い方次第。ぜひいろんな使い方を試してみてください。
PowerPointでの具体的な設定の作り込みについては、僕のリスペクトする望月正吾先生が最近刊行された『最速で最高に魅せるPowerPointプロフェッショナルテクニック』に詳しいので、勉強してみたい!という方はぜひどうぞ。おすすめです。