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デザイン事例紹介:3rd JSIPシンポジウム@シンガポール

2016年5月31日 - Other, Presentation
デザイン事例紹介:3rd JSIPシンポジウム@シンガポール
みなさんこんにちは。プレゼンテーションデザイナーの吉藤です。
 
本日は動画デザインの制作事例をご紹介したいと思います。シンガポール国内での制作事例紹介って今回はじめてですね。そして今回特徴的なのは、PreziでもPowerPointでもなくて、After Effetsで制作したモーショングラフィック、という点です。

 

■日本・シンガポール外交関係樹立50周年(SJ50)イベント!でのお仕事

今回のご依頼元は、日本で展示会の企画立案、制作、運営をされているムラヤマ株式会社様のグローバル拠点、ムラヤマ・シンガポール様で、内容としては今月5/14に開催された医療シンポジウム、3rd Japan Singapore Inter-Professional Collaboration Symposium 2016(3rd JSIP)のオープニングムービーを制作させていただきました。この医療シンポジウムは半年前からムラヤマ・シンガポール様が企画をされているもので、今回が3回目。
 
SJ50また今年は日本・シンガポール外交関係樹立50周年にあたり、日星両国政府で「SJ50」と銘打って様々なイベントや企画が行われているのですが、今回の3rd JSIPもこちらのSJ50の企画のひとつとして非常に大規模に行われました。当日の様子はシンガポールのニュースサイトAsia Xでも記事になっていますし、シンガポール国内のニュース番組などでも放送されました(会場の奥にいた僕もめっちゃちっちゃくTVに映ってました。笑)。
 
シンガポールでも少子高齢化と介護というのは吃緊の課題であり、このシンポジウムでは日本とシンガポールの介護、特に地域包括ケアというアプローチから、医療面だけではなく、社会的、技術的などの側面も含めた講演が続きました。僕は普段からお医者さんや看護婦さん、医療関係企業さんのプレゼンテーションを制作していることもありますし、ごく個人的な話をすると、会社員時代に介護休暇を取って介護生活をしていた経験もあるので、二重の意味で意義のあるお仕事でした。
 
L1020027 L1020031 L1020040 L1020063

 

 

 

 

 

■制作の背景:日の丸とRed dotをつなぐデザイン

さて、それでは制作事例のお話に行きましょう。今回のシンポジウムでは、冒頭にシンガポールのラム・ピンミン保健省国務相、そして日本の篠田大使からのスピーチがあったのですが、僕の作るオープニングムービーはその直後に流れるという光栄かつ責任重大なパート。

 今回の制作にあたって、ムラヤマ・シンガポール様からのご依頼内容をまとめるとこんな感じです。JSIP_fryer_nyuko_ol
・すでにあるポスターを使ってこのトーンを踏襲。
・オープニングを華やかに演出するサウンド付きのムービー
・時間は30秒程度
・後半にはスポンサーロゴを掲載
 
もともと用意されていたポスターはこちらです。やさしくナチュラルなキャラクターと、シンプルなカラーリングがとても感じのいいポスター。僕の今回の仕事はこれを動かしてムービーを作ることです。まずはポスターからムービーという動く媒体を作り出すにあたって、ポスターの要素にもうひとつ “動くオブジェクト” としての要素を追加しました。それはこれ。
 
Red
 
 
…なんのことはない、赤い円ですね。これは日の丸へのオマージュ(でも細かいことを言うと日本の国旗とは色が違います)であり、シンガポールの街のニックネーム、Red dot(世界地図の中で、小さな赤い点になるから。シンガポール国内ではよく使われる言い方です)のモチーフです。また一方で、赤い円は人体の中の血液や体組織を想起させるパーツでもあり、医療シンポジウムとの親和性も高いので、ムービーではこの赤い円に意味を持たせてモーションを作っていくことにしました。
 
30秒という短い時間での表現なので、いろいろラフを作りながら試行錯誤を繰り返しました。
最終的に絞り込んだシナリオは、日の丸/Red dot → みんなが手をつないでいく → 赤い円がたくさんあつまって、シンガポールの形に というもの。日の丸が集まってシンガポールになる、っていうの、どうしてもやりたかったんですよ。SJ50ですし。最終版はこんな形になりました。

 

■手作り感のある(?)モーション設定

普通はオープニングムービーというと、After Effectsのプラグインを使って3Dの光がキラキラキラ~ビューンという感じのものがよく使われますが、今回はシンポジウムのトピックとしてもそういうイメージではないので、医療や介護の未来を象徴するようにやさしくて明るいイメージになるよう、シンプルな構成要素を自然に動かすことを心がけて作りました(個人的にもこういうトーンの方が得意なのです)。赤い円がくるくるっとまわっていくところや、円の波紋が広がるような動きをするところなど、動きが機械的でなくナチュラルなものになるように、ひとつひとつのオブジェクトを手作業で設定して作っています。動きは数ミリ単位、タイミングはコンマ2桁まで各箇所を何度も修正。そんなこんなでパラメータを設定したオブジェクトは132個(!)です。
WS001744WS001746
 
ムービーの中でも特にシンガポールのマップイラストのところはかなり試行錯誤した部分で、何パターンも制作した中で一番このシンポジウムのイメージにあうものを選びました。赤い円も、重ね方によってはちょっと気持ち悪い感じになってしまうので、やさしく清潔な感じがストレートに伝わるように、円の数や色のバランスをじっくり調整しています。ちなみに、このシンガポールの地図が表示されたときにJSIPの円が収まっている場所は、ちゃんと会場となったSingapore General Hospitalの場所に重なるようにしています。 
 
当日会場で流れた際には、シンガポールの地図が浮かび上がったところでパラパラと拍手してくださった方がいたので、作り手としてはものすごくうれしかったですね。

本番はやはり緊張しながら見ていましたが、問題なく無事流れたのでほっとしました。

 

ということで、今回はAfter Effectsをつかったモーショングラフィックのお仕事、しかも日本とシンガポールをつなぐイベントという大舞台でのお仕事でした。こういうムービーは、通常のプレゼンのように「よし、見るぞ!聞くぞ!」と思って身構えてじっくり見るものではないのですが、会場にいた方々の「これから始まる!」という高揚感を高めるという意味では、やっぱり広い意味でのプレゼンテーションかな、と思います。
 
Prezi、PowerPointから動画コンテンツまで。見た人・聞いた人を動かす力を持ったコンテンツ作りはなんでもやってます。
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